別府市 暮らし
【ふたばこども園】幸せ感に満ち溢れた子どもへ「自然との共生と子どもたちを主体とした保育」
暮らし
大分市広瀬町・古国府・上野丘エリアにあるふたばこども園。大分駅から車で10分程度と、大分市中心部にありながら閑静な場所でとても静かで、自然豊かな園庭を有しています。
1965年、認可外保育園施設としてふたば保育園を開園。2014年から子ども主体の自由感のある保育へ方針を転換し、翌年2015年に認可保育所に区分を移行しました。2020年には保育所型認定こども園として運営、現在の「ふたばこども園」となります。
保育方針を子ども主体の保育へ移行していますが、開園当時の保育信条の本質は変えることなく、子どもたちの健やかな成長を支え続けています。
目次
「自然との共生」自然を愛する子へ
同園は季節の移ろいを感じられるように園庭にさまざまな工夫を行っていました。
園内には様々な種類の木が植えられており、春に花を咲かせる桜の木や、初夏は竹林が鮮やかな緑色の輝きをみせます。他には甘い香りで秋の訪れを知らせてくれるキンモクセイ。収穫したり、食べて楽しむことのできる杏、梅、さくらんぼの木など。子どもたちが大好きなどんぐりのなる木もあり、秋はどんぐり拾いが楽しめます。
竹林のこみち
園庭の中央には大きな芝生の山。登って遊んだり、芝生の山から景色を楽しんだり、座って友達とお話を楽しむことができる人気の場所です。そして、園内の雑草は全て取り除くことはせず、雑草の力を借りて昆虫などの生き物を園内に呼び込む環境を作っていました。バッタ、トカゲ、カニ、蝶、トンボなど、さまざまな生き物と出会えます。
トンボを捕まえようとしている園児たち
セミがよく留まるシマトネリコの木も植えられており、7月下旬頃からはセミの鳴き声が響き渡り、夏の訪れを感じることができます。どの時期にどんな植物や昆虫が生息しているのかを知るきっかけにもなることでしょう。
ふたばこども園で過ごす時間で自然の大切さを知り、自然を愛する子に育ってほしいという願いが込められていました。
「やりたい」という気持ちを大切に ~子どもが主体となる教育・保育~
ホールのお部屋には開園当時から継がれてきた保育信条の額縁が飾られています。先生たちは子どもたち一人ひとりの心に寄り添い、自ら育つ力を信じて見守る保育を実践していました。
2014年から子ども主体の保育へと転換したふたばこども園。日々の遊びや発表会の出し物など、一人ひとり子どもたちが自由に選択できるようにしています。
一人で夢中になって絵を描いたり、物を作ったり。みんなと一緒にかけっこをしたり、砂場で遊んだり。自分がしたいことを自ら決めて主体的に行動していくことが大切であり、成長へと繋がっていきます。
子どもが訴える意思表示も大事なこと
幼児期は最も自己主張が強くなる時期。例えば、「嫌だ」という感情表現も自分の思いを周りの人に伝えようとしている大事な表現です。ふたばこども園の吉田園長は「大人がやらせたいことや、やりなさいと言われたことばかりをしていたら、思考や感情を抑えてしまい、子どもが自分で考えることをしなくなってしまったり、自分の気持ちがよくわからなくなってしまう」のだとおっしゃっていました。
みんなが同じ意見である必要はないので、ふたばこども園では子どもの意思を尊重することを大切にしています。先生たちはまず子どもたちの意思を受け止め、なぜそう思っているのか一緒に考え向き合うことで、否定や失敗を恐れずに意見を言える子に育てていきたいと思っています。
徐々に自分の感情をコントロールできるようになり、友達とも上手く感情交流ができるようになっていきます。
感性をくすぐるたくさんのしかけ
ふたばこども園では「市販の玩具に頼りすぎない保育」を行っています。市販の玩具は遊び方が決まり遊びに工夫が生まれないため、子どもが自ら工夫して遊べるように紙やテープ、様々な空箱やカップ、また粘土などの小道具やお店屋さんなどの大道具がたくさんありました。
また、ブロックなどのおもちゃや自ら弾きたいときに使えるようピアノやハンドベルなども日常的に遊べるように用意していました。大半のものが子どもたちの届く場所にあり、好きな時に使えるようにしています。
テラスで営業中のアイス屋さん。お客さんが来ない時はベルを鳴らし呼び込み
粘土でお弁当作り
テラスで鉄琴の演奏
園内で育てたピーマンでジュース作りに挑戦
取材の日は雨の日で、テラスからはチンチン、カンカンと賑やかな音。屋根から滴る雨水が落ちる場所に鍋などを置き、音が鳴るしかけを施していました。子どもたちは雨水が奏でる音に誘われて、手に持ったコップに雨水を貯めるという雨の日にしかできない遊びを楽しんでいました。
遊びの時間は子どもたち自身がやることを決めるため、様々な遊びに活かしてもらえるように園内にはたくさんの「しかけ」が散りばめられています。
お天気の良い日は泥遊び、砂遊び、水遊びをしている子どもたちの元気な姿がありました。暑い時期はシャワーから水を出しておき、好きな時に水遊びができるようにしています。
みんな水を使っての遊びが大好き!水浴びをして涼んだり、水路や泥団子を作ったり、心の赴くままに遊んでいました。
泥んこになりながら夢中に遊ぶ子どもたち
「えほんのこみち」にあるたくさんの絵本
土の本コーナー。左の本はふたばこども園のオリジナル
木の温もりあふれるテラス
雨の日でも遊べる開放感のあるテラスは、お絵描きをしたり、座って外の景色を眺めたりできる癒しの空間となっています。子どもたちが体を動かせるように登り綱や鉄棒も置いています。
そして、部屋のテラス側の窓は外の景色を楽しめるように全面ガラス張り。部屋の外からでも園児の様子を確認することができます。
テラスから望む園庭
遊びのあとの振り返りミーティング
自由に遊んだ後は、何をして遊んだかを振り返るミーティングを行います。振り返りミーティングを行うのは3〜5歳児。遊びの内容は一人ひとり違うので、どんな活動をしたのかをみんなの前で紹介していきます。
振り返りミーティングは先生たちが子どもたちの成長を確認する時間でもありますが、子どもたちが次の遊びに生かすことを見つける大事な時間です。遊びを紹介することで、出来るようになったこと、失敗したこと、楽しかったことなどを振り返り、「次は別のやり方でやってみよう」と活動を見つめ直すことができます。また、自分が知らなかった遊びを知る機会も生まれるので「おもしろそう!」「やってみたい!」と次の挑戦に繋がります。
手足を使いみんなで作り上げた大きなアート作品
ふたばこども園の施設情報・保育詳細
保育時間
1号認定 教育標準時間
月曜~金曜 9:00~17:00
[預かり保育]
月曜〜金曜 7:00〜9:00、17:00〜18:00
土曜 7:00〜18:00
2・3号認定 保育標準時間
月曜~土曜 7:00~18:00
[延長保育]
月曜〜土曜 18:00〜19:00
2・3号認定 保育短時間
月曜~土曜 8:15~16:15
[延長保育]
月曜〜土曜 7:00~ 8:15、16:15~18:00
18:00~19:00
休園日
日曜日・祝日・年末年始(12/29~1/3)
呼び出しについて
体調不良時は電話で連絡があります。発熱はおおむね37.5℃以上で連絡します。
送迎について
送迎バスはなく保護者の送迎のみになります。
慣らし保育とおむつ
慣らし保育は朝から給食を食べるまでの時間で一週間程度を基本とし、保護者の方と相談しながら行っています。0歳児だけ最初は2時間ぐらいから始めています。
おむつは購入した状態のまま(商品パッケージに入った状態)で預かりをしています。
園内での食事(給食やお弁当、おやつについて)
給食やおやつは園内のふたばキッチン(調理室)で手作りされています。そして、月に1回お弁当の日があります。
4歳児、5歳児の給食は子どもたちが自分で食べられる量を自分で決めて食べています。なんでも美味しく食べられるように調理方法や味付けを工夫をしているそうです。嫌いな野菜が調理法で好きになることも。ふたばこども園の給食は、食事が楽しいものだと思ってもらうことを大切にしています。
ふたばキッチンは子どもたちが遊ぶスペースでもあるホールに隣接しており、調理している様子をいつでも見ることができます。
お散歩や園外活動
お散歩は大分川の河川敷で、草滑りや菜の花摘みをしたりしています。園内でも様々な遊びができるため基本的には園内で過ごしますが、子どもたちが行きたいと言う時や気候の良い時季などにはお散歩をしています。
園外活動は年長さんで田植えや稲刈り体験に出かけます。他には水族館に行ったり、卒園前の思い出として自分たちで行く場所を決める卒園day旅行などがあります。
保護者の参加行事ついて
お見知り会として親子遠足、プレイデー(運動会)、発表会、年に1回保育参観日があります。PTA役員会は2、3ヶ月に1回程度。行事の感想を聞いたりするお茶会のような場として開いているそうです。
ふたばこども園が行っている地域子育て支援
ふたばこども園では子どもが在園していない家庭でも参加が可能な子育て支援を行っています。親子一緒に楽しめる「ふたばっこひろば」では七夕飾りを作ったり、寒天・片栗粉・小麦粉粘土などを使って楽しむことのできるイベントなどを行っています。
他には主幹保育教諭・大分県認定保育コーディネーターによる子育て相談や年1回程度講師を招いての子育て講演会があります。詳細はふたばこども園のホームページでご確認ください。
おわりに
ふたばこども園は子どもの笑顔が輝く素敵なこども園でした。自然とふれあい、のびのびと自分らしく過ごす子どもたち。園での生活で友達と楽しく遊んだり、何かに夢中になったり。自分のやりたいことを見つけ、最後まで諦めずに取り組む姿がありました。発想力が豊かでこれからの子どもたちの将来が楽しみです。
見学会や地域子育て支援も行っているので、園の様子を実際に見ていただきたいです。
▼ 認可保育所と認定こども園の違いは?
認定こども園というと、認可保育所と何が違うんだろう?と思う方もいらっしゃるかもしれません。簡単に言うと、教育・保育を一体的に行う施設で、いわば幼稚園と保育所の両方の良さを併せ持っている施設です。
つまり、集団活動・異年齢交流に大切な子ども集団を保ち、すこやかな育ちを支援するという意味で「保護者の就労の有無などにかかわらず施設の利用が可能」という特徴があります。