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心と体を豊かに育み、自然あふれる環境の中で学ぶ「カトリック鶴崎幼稚園」
キッズ
今年で設立60年を迎える学校法人大分カトリック学園認定こども園 カトリック鶴崎幼稚園は、カトリックの価値観を基盤に感謝と愛の心を育てながら、心身の健全な発達を支援しています。園では、縦割り保育やモンテッソーリ教育を取り入れ、子どもたちが自立心を育みながら成長できる環境を整えています。平成31年から幼稚園型認定こども園へと移行し、「かとつる」の愛称で地域の方や卒園生、保護者達から親しまれているカトリック鶴崎幼稚園の特色について、副園長の岡原先生にお話を伺いました。
こんな保育園/幼稚園に興味がある方向けの記事です
・モンテッソーリ教育方針に興味がある
・皆春エリア、鶴崎エリア
・バスによるお迎えがある(皆春・鶴崎・三佐・日岡・森町・高田・横尾・大在)
・0・1歳・2歳・3歳児の受け入れがある
目次
60周年の節目と新たなステップ
かつてカトリックの神学校として使用されていた建物を改修し、昭和40年にカトリック児童館として開園したカトリック鶴崎幼稚園。昭和58年には、運営母体である学校法人大分カトリック学園が文部科学省から認可を受け、大分県内にある9つの姉妹園(海星、明野、坂ノ市、日田市、玖珠市、臼杵市、津久見市、佐伯市のカトリック幼稚園)と共に運営されています。
岡原先生:当園は「かとつる」という愛称で、職員を含め多くの方々に親しまれています。アクセスが便利とは言えないかもしれませんが、静かな団地の中にひっそりと佇む幼稚園で、1台の園バスを通じて様々な地域から通園していただけているのはとても嬉しいことですね。
そして、約60年前に地域の方によって植えられた当園のシンボルである2本のイチョウの木は、秋になるとどこよりも美しい色に染まります。園児たちは落ちた葉や実を拾い、葉っぱを毛布のようにして遊びます。銀杏の実は教会の信者の方がきれいに洗ってくださり、バザーに出され、教会の積み立てに役立てられています。ちなみに、銀杏はとても美味しいんですよ。
美しい色に染まるイチョウの木
今年で60年を迎えるにあたり、カトリック鶴崎幼稚園ではどのようなテーマで取り組んでいるのでしょうか。
岡原先生:今年で60年という節目を迎えるにあたり、「還暦」と掛けて「感暦 〜60周年おめでとう ありがとう〜」をテーマに、過去と現在、そして未来に向けて新たなステップを踏み出しています。カトリック精神はもちろんのこと、モンテッソーリの平和教育という理念も取り入れ、全ての活動においてテーマを意識したものにしていく予定です。今年の運動会では、テーマに沿って幼稚園の歴史を学び、振り返る機会としたいと考えています。また、司祭の住む司祭館は70年ほどの歴史がありましたが、今年の夏に取り壊されて駐車場となり、これも新たな節目からの再スタートだと感じています。
カトリック鶴崎教会
モンテッソーリ教育の理念と実践
カトリック学園全体の特色は、カトリック教育とマリア・モンテッソーリの教育理論を取り入れている点です。モンテッソーリは、20世紀初頭にイタリアで初めて女性医学博士となり、教育原理を提唱しました。モンテッソーリ教育は元々障がい児のための感覚教育を発展させたもので、彼女の教育の目的は、子どもたちの「自立」を促し、人格形成に影響を与えることです。
モンテッソーリ教育の概要
自立を目指す教育
モンテッソーリ教育では、子どもが自発的に行動し、積極的な人格を育むために、自分の興味に基づいて「お仕事」を自由に選ぶことが重視されています。整えられた環境や豊富な教材の中から選ぶことで、必要な経験を自ら見つけ、成長していきます。
繰り返しの活動で自信を深める
子どもたちは興味を持った活動に繰り返し取り組み、自身の成長を実感することで自信を持つようになります。この過程で落ち着きや積極性が育まれ、自立した人格が形成されます。
集中力の発達
興味を持った「お仕事」に対して子どもたちは深い集中を見せ、教材を使った知的活動が活発に行われます。この集中した時間を通じて、子どもたちは自然に「学び方」を学んでいきます。
個別活動を通じた学び
子どもたちは日常生活の練習、感覚教育、言語教育、数教育、文化教育など多様な教材を自由に選び、個別に活動します。これにより、個性が伸び、能力が開発され、豊かな人格形成に寄与します。
教師の役割
モンテッソーリ教育の教師は、子どもたちの成長を促すために注意深く見守り、必要な手助けを行います。子どもが自らの力で問題を解決できるようサポートすることが重要です。
個別活動の種類
- 日常生活の練習:自立を達成するために、自分の体を思い通りに動かす能力を養います。
- 感覚教育:精密な教具を使い、感覚を磨くことで物事の違いを識別する力を育てます。
- 言語教育:読み聞かせや教具を使った「お仕事」を通じて、言葉を豊かにします。
- 数教育:数や量、順序などの概念を理解し、数学的な法則や構造を発見する力を促します。
- 文化教育:幼少期に文化を吸収する力を育て、民族や社会の複雑な文化を理解します。
園庭のマリア像
日々の生活の中で、園児たちが行う「お仕事」を通じて、どのように成長していると感じるのでしょうか。
岡原先生:先生方は日々勉強しながら子どもたちと共に活動し、終礼やクラスの話を通じて共通理解や喜びを分かち合っています。モンテッソーリが考案した教具を使って子どもたちは自分の興味を見つけ、「お仕事」と呼ばれる活動を通じて自己を形成します。「お仕事」には発見や感動が詰まっており、子どもたちは目標を見出し、困難を乗り越えることで根気強さや集中力を育んでいきます。
自己が満たされると、友達の良さに気づき、お互いを認め合い、共に成長することができるようになります。「こんな言葉知ってるの?」「そんなことできるようになったの?」など、多くの感動や発見が日常の何気ない瞬間にもあると考えています。子どもたちが心からの感動を味わえるよう、日々大切に関わっていきたいと思っています。
日常生活教材
言語教育教材
数教育教材
数教育教材
縦割り保育と異年齢の学び合い
異年齢の児童が同じクラスで過ごす”縦割り保育”が実施されているそうですが、いつ頃から始められたのでしょうか?
岡原先生:当園では、30年以上前から縦割り保育を採用しており、その基盤には当時のシスターが取り入れて下さったモンテッソーリ教育があります。カトリック学園で働く教諭は、小百合学園 広島モンテッソーリ教師養成コースで学び、大分県内で最初にこのプログラムを導入したのが当園です。
現在、満3歳から5歳の子どもたちが同じ教室で過ごし、年長児を「Aさん」、年中児を「Bさん」、年少児を「Cさん」と呼び合い、互いに尊敬し助け合う環境を大切にしています。この3年間は子どもたちが多くのことを吸収する時期であり、年上や年下との関わりを通じて成長を振り返り、未来の自分を思い描く機会を提供しています。
年間行事には運動会、クリスマス会、夏祭りなどがあり、子どもたちが協力し合う大切さを学ぶ機会を提供しています。特にクリスマス会では、年長児がオーディションを経て配役される聖劇に挑み、葛藤を抱えながらもそれぞれの役を一生懸命に演じていてとても可愛らしいです。また、園児たちは毎日の祈りの時間を通じて感謝の気持ちを育み、心を落ち着ける時間が精神的な成長にも寄与しています。
大きい遊具と2本のイチョウの木
カトリック鶴崎幼稚園では、満3歳から5歳の園児だけでなく「たんぽぽ組」の2歳児や「エンゼルクラス」の2・3歳児、「リトルエンゼルクラス」の0・1歳児を受け入れているそうですが、それぞれどのようなクラスなのでしょうか。
岡原先生:赤ちゃんは成長とともに手を使ってさまざまなものに触れ始めますが、これは自己を形成するための大切な第一歩で、モンテッソーリ教育では「お仕事」と呼んでいます。単なる遊びではなく、自己成長に欠かせない体験で、この重要な成長期を支えるために5月末〜9月末まで、「エンゼルクラス」で2・3歳のお子さまと楽しい時間を過ごしています。「リトルエンゼルクラス」では、0・1歳のお子様、その保護者と共にアロマやベビーマッサージなどを行なっています。
「たんぽぽ組」の園児たちは、2歳児のみのクラスで年少以上の園児と同じようにモンテッソーリ活動、さまざまな制作活動や行事の練習などを行なっています。2歳児は少人数のクラスで運営し、それぞれの成長段階に合わせた丁寧なサポートを行っています。
小さい遊具
自然との触れ合いと食育の取り組み
カトリック鶴崎幼稚園では給食を園で調理しているそうですが、食育に関してどのような取り組みを行なっていますか?また、自然の多い土地ならではの体験を通じて、子ども達の成長を感じるのはどんな時なのでしょうか。
岡原先生:当園では、魚国総本社さんが栄養バランスの取れた給食を提供し、季節の食材を使った料理を通じて子どもたちに食べ物の大切さを伝えてくださっています。昨年はフードトラックの窯でピザを焼いてくださったので、ポテト、唐揚げといったジャンクフードを献立に追加していただきました。また、SDGs(持続可能な開発目標)を意識した取り組みも行われており、普段はあまり使われないサメの肉が提供されました。冷凍保存を活用することでフードロスを防ぎ、子どもたちはテレビや図鑑、水族館などで見たことのあるサメに興味を持ち、『食べてみたい!』と大人以上に楽しみにしていました。食育を通じて、園児達の興味や学びが育っていることを実感しましたね。
園庭にある小さな畑
秋には毎年恒例の芋掘り遠足があり、少し離れた場所にある園の畑で年長児たちが苗を植え、園バスの先生が畑の世話をしてくださり、職員もお手伝いをしています。そこで虫やカエルを見つけたり触ったりする体験が、自然と触れ合う良い機会になっていると感じます。また、園庭には小さな畑があり、食育担当の先生と共に季節ごとにナスやきゅうり、オクラ、トマト、とうもろこしなどを育てています。昨年は、園長先生のご実家からお米をいただいて小さな田んぼを作り、子どもたちが苗植えから稲刈りまで行いました。
自然豊かな環境で育つ子どもたちはたくましく、他の園の先生からも「色が黒くて元気いっぱい!」と驚かれるほどです。今日も子どもたちは泥んこ遊びを楽しんでいますが、そうやって直接土や虫などの自然と触れ合い、体を動かしていくことで感性が豊かになり、自立心も培われていくのではないでしょうか。
泥遊びを楽しむ園児達
カトリック鶴崎幼稚園の施設情報・保育詳細
運営主体
大分カトリック学園が運営主体で、大分市皆春にあるカトリック鶴崎幼稚園をはじめ、同市内の海星・明野、坂ノ市、臼杵市、津久見市、佐伯市、日田市、玖珠町の9つの幼稚園を運営しています。
クラス編成・中途入園
「ばら」「もも」「すみれ」「あやめ」の4クラスで、年長・年中・年少・満3歳児が兄弟のように過ごしています。また、「たんぽぽ」の2歳児クラスは少人数の中で、一人一人の成長に合わせた援助、興味・関心に応じた関わりを行なっていま中途入園は、その年によって締め切っている学年もありますが、空きがあれば可能です。
保育時間・預かり保育・給食
保育時間
1号認定:9:00〜14:00
2・3号認定:標準時間利用 7:30〜18:30
短時間利用 9:00〜17:00
預かり保育
◎平日・長期休暇中
預かり保育(1号認定児):14:00〜17:30
延長保育(2・3号認定児):短時間利用 17:00〜18:30
標準時間利用児 〜18:30
◎土曜日
延長保育(2・3号認定児):短時間利用 17:00〜18:30
※2・3号認定児の延長は19:30までとなりますが、1回につき延長保育料100円が加算されます。
1号認定預かり保育料
◎月曜から金曜
8:00〜8:30:1回50円
保育終了後〜17:30:1回400円+おやつ代50円
◎長期休暇(春・夏・冬休み)
半日(8:30〜12:00):500円+おやつ代50円
1日(8:30〜17:30):1000円+おやつ代100円
※月額制度もあります(8月:15000円、その他の月:6000円)
給食
1号認定:月曜〜金曜 給食
2・3号認定:月曜〜土曜 給食
全園児、毎月最終金曜日は「おにぎりの日」
諸費用
入園準備金:33000円
施設設備費(入園時のみ):10000円
保育料:満3歳〜5歳の保育料は無償化となります。ただし、3号認定児については住民票のある自治体で定められた保育料となります。
施設設備費(園舎などの設備の維持費):毎月1000円
制服・保育用品・通園カバンなど:実費
制服・通園バッグ・制帽・体操服ひとそろい→34000円程度
(3号認定児)通園バッグ・体操服・スモックひとそろい→11000円程度
保育用品・クレヨン・ハサミなど→6000円程度
保護者会費:毎月500円
冷・暖房費:7月・12月に3000円
給食代:1号認定→毎月4700円
2号認定→毎月5500円
3号認定→0円
日本スポーツ振興センター共済給付負担金(保険):年200円(毎年5月)
バス利用料(満3歳児から希望者のみ、兄弟割引あり):往復利用→3000円、片道利用→1500円
月刊絵本代:毎月390円
アルバム代(5歳児のみ):6月から毎月700円
※別途諸費用あり(園だよりなどで事前にお知らせ)
※制服や通園カバンなどは年度末に行われるリサイクルの日や中途で必要になった際などに、卒園生・在園生から譲っていただくことも可能です(サイズによってお譲りできない場合は購入をお願いします)。
おむつ・お布団
2・満3歳児はおむつが必要ですが、自分でお手洗いに行けなくても、やりたい意欲は大切になさって下さい。また、2歳児はお布団、3歳児と預かり保育でお昼寝をする園児はタオルケットやブランケットなど、時期に合わせてお持ちください(預かり保育の園児に関しては園に簡易ベッドがありますので、敷布団は必要ありません)。
送迎・駐車場
送迎
園バスもしくは保護者の送迎となります。車での保護者送迎の際、ご近所との兼ね合いや皆様の安全のため、ドライブスルー方式での誘導を行なっています。登園時は8:30〜9:00、降園時は14:05〜14:30(13時降園の場合は13:05〜13:30)に決められた乗降ポイントでお待ちください。保護者は車に乗車したままで、職員が園児をお受け取り、お引き渡しします。
※ドライブスルー時間前後での送迎や3号認定児の送迎は、駐車場に車を停め、保護者が園児を直接靴箱までお連れください。
園バスの送迎エリアは現在、皆春・鶴崎・三佐・日岡・森町・高田・横尾・大在地区を対象とし、2コース編成で運行しています。園児に負担がかからないよう、1時間程度の走行時間を目安にコースを組んでいます。
駐車場
園の敷地内に駐車場があります。大きな園行事がある場合のみ、ヤマダ電機さんの第2駐車場や乙津川河川敷を駐車場として利用することができます。
参観・連絡網・園での習い事
参観
宗教行事や保育参観、体育指導、運動会、クリスマス会などの行事があります。参観人数の制限は無く、体育指導などは自由参観となっていますので、お時間のある保護者はぜひご参観ください。
連絡網
園児管理アプリ(らくらく連絡帳)と保護者LINEを使用します。遅刻や欠席、園バス利用について、延長保育などは園児管理アプリにて連絡していただきます。
園での習い事
年中からライフキネティックを習う事が可能です。
園の見学
平日のみ常に受け付けていますので(行事のある日でも可能)ご連絡をいただき、お互いの都合の合う時間帯にお願いします。
保護者会・ノアクラス
入園と同時に保護者会の会員となり、毎年4月に各クラス・学年ごとに役員を選出し、行事ごとにお手伝いをしていただいています。また、秋頃には保護者の有志が集まり「絵本祭り」を開催しています。「絵本祭り」は20〜30年前から続いている行事で、セッティングなども自分達で行い、一つの劇団の劇を見ているかのようでとても楽しいですよ。また、有志の集まるバレーチーム(A・B)があり、東郵便局の体育館を借りて練習をしています。
ノアクラスは卒園した小学生(中学生で来る子もいます)のクラスです。毎月1回土曜日に幼稚園へ集まり、近所のスーパー「ふらいる」にてお買い物ごっこをしたり、保護者が作成した竹のそうめん台でそうめん流しをしたり、時には小学生達のやりたいことをするなど小学生たちと職員で楽しい時間を過ごします。ただ、新型コロナウイルス感染症の影響や認定こども園へ移行して土曜保育を行うようになり、園児の預かり人数が増えたことから、現在は中止しています。職員はノアクラスの復活を目指しています!!
おわりに
カトリック鶴崎幼稚園は、自然豊かな環境とカトリックの価値観を基盤に、子どもたちがのびのびと成長できる場を提供しているのが印象的でした。モンテッソーリ教育を取り入れた縦割り保育では、異年齢の子どもたちが互いに尊敬し合い、助け合いながら成長していく姿がとても微笑ましく思います。
園のシンボルであるイチョウの木や自然豊かな環境での活動を通じて、子どもたちは感性や自立心を自然に育んでいるのが感じられました。また、栄養バランスの取れた給食や食育の取り組みも、子どもたちに食の大切さを実感させる素晴らしい機会となっています。60年の歴史を持つ「かとつる」の温かい雰囲気を実際に感じてみたい方は、一度園を訪れて、その魅力に触れてみることをおすすめします。