大分市 暮らし
別府市青山保育所「ハンディ、人種や肌の色が違ってもみんなお友達」
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別府市にある社会福祉法人栄光園は、保育所を2ヵ所、市内でも数少ない乳児院、児童養護施設と、計4ヵ所を展開しています。栄光園の発足は70年前の昭和25年。戦後の混乱の中、児童養護施設、乳児院を開設しました。
キリスト教精神のもと、子どもたちが互いに愛し合い、思いやりを持って心豊かに正しく成長することができるよう支援しています。青山保育所は昭和51年に開所し、40年以上地域に根付いた保育所として親しまれています。
目次
「ハンディ・国籍問わず受け入れるインクルーシブ教育が魅力」
園庭の遊具で遊ぶ子供達
青山保育所では子供達の元気いっぱいの声がいつも聞こえてきます。
そして、ここにはハンディがある子、国籍が日本ではない子、生まれた国が違う子が毎日一緒に過ごしています。
インクルーシブ、インクルージョンという言葉は現在、子育て中の方は興味があるかたも多いと思います。
インクルーシブ教育とは、多種多様の人々のすべての子どもを受け入れる教育。
青山保育所はどのようにしてインクルーシブな保育園になったのか園長の本庄智宏先生にお話を伺いました。
人種や肌の色が違ってもみんなお友達
別府市は観光都市でもあるので外国の方も多い街。そして2000年にAPU(立命館アジア太平洋大学)が創立し、そこに通う留学生のパパやママの子供達が青山保育所で過ごしています。南スーダン、タジキスタン、中国の子供達。そして、いまだ軍事進攻の続くウクライナから避難してきた家族も。
子供達はもちろん母国語しか話せません。しかし、半年もすると両親より日本語(大分弁)が上手になってる子もいます。特別に日本語の勉強はしなくても、自然と話せるようになり先生と親との通訳する子も。
そして、宗教的に食事に制約がある場合もアレルギー対応と同様にハラルにも対応しています。
障害児保育は初代園長から「断る理由がない」
障害児保育は初代園長から始まりました。現在は、インクルーシブという名前がついていますが、ここでは今に始まったことではなく特別なことではなかったそうです。受け入れるのが普通、断る理由がない。本庄園長は当然のこととして園児を受け入れています。かつては、小児まひや寝たきりのストレッチャー型車椅子の重度障害児も。
子どもたちはそのような子と一緒に遊ぶこと、手助けすることを当たり前に過ごし、同じように遊びを見つけ、楽しさを見つけていくのが普通になります。
日々、多彩な体験ができる
園の隣の敷地には、同じ社会福祉法人 栄光園に広い芝生のグランドがあります。晴れた日は、芝生の上でボール遊び、鬼ごっこ、フラフープと走りまわり自然の中でのびのび遊ぶことが出来ます。
毎月のお誕生日会と、避難訓練は欠かしません。特に、避難訓練は消防車やパトカーも出動し、かっこいい消防士さんや警察官に子供達は目がキラキラ輝いています。
年中さんになるとクッキングにも挑戦します。最初は混ぜるだけのヨーグルトのデザートから、年長さんになると園で育てた野菜のカレー、クッキーや月見だんご、うどん作りなど。出来ることが増えていく、みんなで作ることを楽しみにしているようです。
先生方が季節の行事を体験させてくれる
春は遠足やグランドでのお花見、夏は先生の心のこもった手作り夏祭り。
特に食品バザーや子供達に大人気の手作りゲーム。お神輿や盆踊り(オリジナルの青山音頭)は大人も子供も楽しみにしている演目です。
秋の運動会は広い芝生のグランドで開催されます。自然豊かな運動場で子供達の元気いっぱいの声援が聞こえます。冬は発表会にクリスマス会、お正月明けのお餅つき、節分。忙しい保護者に代わって先生方は季節の行事を体験させてくれます。
青山保育所の施設情報
地域でのお散歩や園外活動
お天気の良い日は、隣接する栄光園のグランドへ。春秋の季節は、年中クラスから徒歩7分ほどの境川の河川敷へお散歩にでかけたり、徒歩15分程度の南立石公園へ遠足におでかけしています。保護者同伴の遠足は南立石公園や別府公園など。年長クラスになると、園内でのデイキャンプに水族館うみたまご。卒園前には隣の大分市へ電車に乗っての観劇や買い物体験など園外活動は豊富です。
園内での食事(給食・お弁当について)
食事は月曜日〜土曜日まで給食で園内で調理しています。離乳食、アレルギー対応です。毎月の献立表もあり、特に食育に取り組まれていて県産の食材や旬の食材が豊富です。献立表に食育プログラムも記載されています。年中クラスから主食は持参です。
給食時は年中クラスから、子供たちのグループで食器配布や「いただきます」の挨拶など積極的に準備に関わっていきます。おかわりはバイキング方式になり、一回はすべて食べ終わってからなどルールを決めているそうです。食事中は先生方が、「よく噛んでね。」「もぐもぐしようね。」など声をかけながら見守っています。
副食は3時のおやつは園内手作りで蒸しパンやおにぎり、ミルク餅は子供たちが大好きなメニューです。0才児〜年少クラスは午前9時に副食も追加されます。18時を過ぎるとおせんべいやウエハースなどの副食が追加されます。代金は延長料金に含まれます。
遠足はお弁当で園児のみ、保護者同伴でも同様です。
保育詳細
早朝・延長・呼び出し・土曜保育
朝は7時から通常保育、延長保育は18時を過ぎると自動的に適用されます。1回単位で、100円(副食付き)です。基本19時まで、お迎えが遅れる際は電話連絡です。延長料は、月ごとにまとめて現金払いです。発熱時の呼び出しは38.0℃からです。病児保育は行っていません。土曜保育は給食もあり、平日と同じ通常保育です。休日は、日曜祝日と年末年始です。
保護者の参加行事について
保護者の参加行事は、保育参観が年に3回程度、保育士体験があります。保育士体験は希望者のみですが一日コース、半日コースがあり我が子だけでなく他の子供達も同様にお世話をします。保育参観とはまた違ったアプローチなので、子供達が園で過ごす様子や普段の姿を見ることが出来ます。他は夏祭り、運動会、発表会などがありこちらは、参加するのみです。保護者会等は無く、保護者がイベントや行事の準備をすることはありません。
慣らし保育とおむつ
慣らし保育の最初は1時間、2時間・・・と時間を増やしていくスタイルです。慣らし保育の期間の規定はありません。その、時々の子供に寄り添った形で進めて行きます。園内での様子は、先生方が細かく報告してくれます。特に、悩みの多いこの慣らし保育期間は、報告と相談をしやすい環境と声掛けを積極的に行っています。
おむつは、紙おむつのみで名前を書いて持参。使用済みおむつの持ち帰りはありません。
送迎・駐車場について
子どもたちの送迎は、保護者の送迎のみです。駐車場は園舎から徒歩2分の栄光園敷地内です。登園時間は、基本9時までで遅れる場合は電話連絡が必要です。9時15分を過ぎても連絡がない場合は電話確認があります。子供の引き渡しは、教室前のテラスでお迎え時も同様です。登園バッグや週末のお布団などはテラスに準備してあります。
おわりに
本庄園長はこのように包括的で多様な子供を受け入れる姿勢の保育所に対して、成長していく過程で現実的な事に直面することもあるかもしれない。でも、ここで過ごしてきたことを少しでも思い出してほしいと語られました。
そのように楽しい思い出があるからこそ、親子2代で通った方や両親が卒園児だったりと世代を超えて愛されている保育園です。
また、職員の先生方の産休から復帰の先生方も多く、自身も母親・父親である方が多いのも特徴です。勤続13年の赤ちゃんクラスの先生は、包括的な青山保育所だからこそ、ここで勤務したいとおっしゃていました。
長年、地域に根差している青山保育所は、子供たちがのびのびと元気いっぱいの声が聞こえる保育所でした。