暮らし

別府市にある社会福祉法人栄光園は70年前の昭和25年の戦後の混乱の中、混血児を明るく迎える施設として発足しました。保育所を2ヵ所、市内でも数少ない乳児院、児童養護施設と、計4ヵ所を展開しています。青山保育所と同系列の保育所になりますキリスト教精神のもと、子どもの権利条約、児童権利宣言、児童憲章に定める理念に測り、子どもたちが互いに愛し合い、思いやりを持って心豊かに正しく成長することができるよう支援しています。

「青山保育所」レポートはこちら

大きなアスレチックでのびのび育つ

園庭を見ると目に飛び込んでくるのは、大きなアスレチック遊具です。上に登るにはロープか登り棒、はしごの3つ。幼児に大人気の遊具で最初は登れなかった子も諦めず、毎日遊具にふれることで「できた!」を体験するそうです。今回は、笑顔が素敵な工藤直子園長にお話を伺いました。

園庭にある大きなアスレチック

園庭のメイン・大きなアスレチック

「育てる」「収穫する」「調理する」「食べる」を年間通して体験

野口保育所の食育は、食育プログラムの年間スケジュールを決めることから始まります。各クラスごとの先生が子ども達との食育の関わり方を話し合います。
「育てる」は、種まき、苗の植え付けなど季節や収穫したい時期によって食べ物(主に野菜)を決めます。植える野菜は様々で、夏野菜のトマト、ピーマン、きゅうり、なすから始まり、じゃがいもやさつまいもまで。子ども達は野菜のお世話をして成長していく過程を観察します。

「収穫する」は、もちろん子ども達が行います。トマトなどは、その場で食べちゃう子もいます。そのときは、お友だちにもあげようねと言ってみんなで分けるそうです。
「調理する」年少クラスからとうもろこしの皮むきや、きのこをちぎることから始めます。それを調理室に運んで調理士さんにお願いするまでが一連です。年中、年長とクッキングはレベルアップしていきます。最終的には、先生が見守りながら包丁で野菜も調理します。

子ども達の給食の様子

子ども達からおいしい!の声が聞こえました。

「食べること」を楽しんでほしいという願いから

子どもたちの中には頑張って食べてる子もいます。幼児期の子どもは特に個人差があります。食べるのが大好きな子、たくさん食べる子、食べることが苦手だったり少食の子など、その差は保護者の悩みの種でもあります。保育所ではお友達と一緒に食べているのに、家庭では食べない子もいます。

工藤園長は、そんな日々頑張っている子ども達に「食べること」を楽しんでほしいと給食やおやつの時間にイベントをすることもあるそうです。給食の先生が出張してホットケーキを焼いたり、工藤園長と給食の先生のりんごの皮むき大会も。お昼寝前におやつ券を配り、おやつ時間になるとウキウキで引き換えにいくなど、大切なのは子どもたちと一緒に楽しむことが一番とおっしゃっていました。

そして今年度からは、近年コロナ対策でお休みしていた月に一度のバイキング形式を復活するそうです。日々、食べるのを頑張っている子どもに、この日だけは自分のペースで好きなものを食べること。食べるの大好きな子は好きなだけ(限度はあります。)食べてほしい。どんな子でもバイキングの日は自分の気持ちを大事にする。このイベントは園長や先生方の子ども達への愛情と自分を大切にする気持ちを感じます。そして食べることだけでなく、お皿を持ちトングを使うことで手先を使ってもらうこともバイキング形式の目的の一つです。

子ども達がおやつ券ととうもろこしを引き換える様子

おやつ券を渡して、とうもろこしを交換

園外活動は消防署にも。地域との深いつながり

野口保育所から徒歩5分の所に別府市消防本部があります。保育所から近いので、公園への散歩途中に前を通ったり実際に見学にも行きます。消防本部なので、はたらく車の数は別府市内一です。消防車にはしご車、救急車、消防隊員は子ども達の憧れです。消防署から一番近い保育所ということもあり、いつも見守ってくれています。

また、保育所の横には境川が流れており、河川敷へのお散歩や年長さんは別府公園、南立石公園まで出かけることもあります。お散歩は多い時でお天気を見ながら、週3回ほどです。地域と関わり合い、深いつながりは子ども達にとっても関心と経験を広げて行きます。

河川敷で子ども達がこいのぼりを見ている

境川の河川敷でのお散歩。5月は大きなこいのぼりがはためいています。

園内研修と保育カウンセラーの存在

系列保育所の青山保育所と連携して、九州産業大学の子ども教育学科の先生を講師に、毎月1回研修を行いひとりひとりの成長に合わせて寄りそえる保育を目指しています。子ども達が発見したときに気づき共感し言葉を返すなど、子どもとの関わりを職員間で連携できるような活動をしています。また、法人内の保育カウンセラーは職員のみならず、保護者の育児相談など家庭とも連携して子ども達にとってよりよい育ちになるように支援しています。

子どもたちの手作りてるてるぼうず

障害児保育の取り組み。家庭支援、関係機関との連携強化を

野口保育所は障害がある子、特別な配慮が必要な子、外国籍の子どもが在籍しています。障害がある子もない子も外国の子も、同じ場所で時を過ごし成長していきます。このインクルーシブな取り組みは設立当初からであり、昨今10年程前から聞かれる多様性、共生社会をすでに15年以上前から取り組んでいます。

勤続16年目のベテランの先生も勤務しており、また別府発達医療センターや障害児発達支援施設と併用して通園している子も多く、そのような関係機関とも積極的に連絡を取り合い、子どもの特性に合わせた保育を行っています。

工藤園長(写真真ん中)と職員の皆さん 笑顔がとっても素敵な先生方でした。

別府市野口保育所の施設情報

施設の住所・電話番号について

野口保育所
大分県別府市上野口町
0977-22-5015
施設情報を見る

保育所内での食事(給食・お弁当)

給食、副食は保育所内で調理しています。提供は月曜〜土曜日まで。年中さんから主食(米飯・パンなど)が持ち込みになります。離乳食、アレルギー、ハラル対応です。母乳の持ち込みは要相談です。献立表、当日の給食の展示もあります。

年少さんの午前の副食と全園児の3時のおやつは手作りで人気メニューは、にんじんしりしり、焼きこんにゃくなど、また家庭のおやつとは違ったラインナップでした。そして子ども達が大好きな蒸しカップケーキに自分たちでトッピングするなど、楽しみながら食べることを目的としています。
18時を過ぎには、おせんべいやクッキーなどの提供があり、副食費は延長代金に含まれています。遠足はお弁当です。

こいのぼりのハンバーグとスープ

楽しいランチョンマットにかわいい行事食

保育詳細

早朝・延長・呼び出し・土曜保育

保育所は7時から通常保育です。18時を過ぎると自動的に延長保育になります。延長保育(副食付き)は市内一律100円です。保育時間は基本19時までで、遅れる場合は電話連絡です。延長料は、月ごとにまとめて現金払いです。

発熱時の呼び出しは38.0℃からで病児保育は行っていません。土曜保育は給食、副食もあり、平日と同じ通常保育です。休日は、日曜祝日と年末年始です。

七夕飾り

大きな七夕飾りもありました。

保護者の参加行事、保護者会

平日の行事は参観日のみです。夏祭り、運動会、発表会は休日開催です。(天候等で変更あり)保護者会は無く、保護者が行事の準備等をすることはありません。

慣らし保育とおむつ・お昼寝ふとん

慣らし保育の期間は厳密には決まっていませんが、2週間を目安にしています。初めは1時間ごとに時間を増やしていくスタイルです。初めて環境が変わるデリケートな時期で子どもはもちろん、保護者も不安です。ゆっくり時間をかけて寄り添い、子どもが慣れるまでゆっくり向き合ってくれます。お仕事の都合等で、初日から全日でも受け入れてくれます。

おむつは、紙おむつのみで持ち帰りはありません。
お布団は持ち込みで敷ふとん(お昼寝マットなど)季節によって掛ふとん、毛布等が必要です。

砂場とテーブル

きれいな砂場もありました

送迎・駐車場、玄関モニターについて

保護者か連絡があれば保護者以外でも送迎できます。兄姉などのお迎えは中学生からです。車での送迎は場合によって、職員が車までお迎えにいくことも出来ます。駐車場は4台です。玄関には防犯カメラがあり、職員室のモニターで確認できます。これによって、お迎えの引き渡しもスムーズです。

教室で遊ぶ子どもたち

おわりに

まずは子ども主体であること、子どもの気持ちを大切にしてまず寄り添う。そして自分の気持ちが言えることが大事だと工藤園長はおっしゃっていました。卒園したら、終わりではなくずっと応援したい、見守りたいと考えているそうです。

実際に、保育所の前には市営と県営団地、大きなマンションが近隣にあり卒園児が学校帰りに寄ることもあるそうです。夏祭りには、在籍の兄弟児がいなくても卒園児を招待します。
そんな野口保育所は、子どもたちの未来をずっと見守って応援してくれる安心して通える保育所でした。